読書の秋、サクッと読めるおすすめの短編小説!




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こんにちは、アールプラスハウス長岡のアールです(^o^)

いよいよ紅葉、そして落葉という感じの季節になってきまして、冷たく乾いた秋風に吹かれ、ふと、ものがなしさを感じるこの日この頃。ひとりで静かに人生を想う、読書に耽る、そんな時間が恋しくなるのは私だけではないはずです。

今回は、「読書の秋」にかこつけて、家づくりから離れ、たまには文芸作品の紹介なんかさせていただこうと思う次第。とはいえ、日々忙しい毎日を過ごしているこのウェブマガ読者の皆さんにとって、上下巻合計1000ページ!みたいな大作をオススメするのは重すぎますよね。物理的にも精神的にも。そこで、一晩で、あるいは一時間程度でサクッと読める、それでいて、ずんと心に響く、そんな短編小説をご紹介できたらと思います。

もちろん、今回も独断と偏見で選んだ5冊。条件としては、気軽に手に取れるよう、文庫になっていること、おそらくどこの本屋さんでも品揃えがあること、そして、作品としての新しさや主義主張の強さよりも、テーマの普遍性や安定感を優先すること。そういった基準で、秋のちょっとした時間に誰でも楽しめるような短編小説集を選んでみました。

「あー、なんかたまには小説読みたいな。でも分厚すぎるのは苦手だな」「なんか秋はせつないから、小説でもひとつ読んでみたいな」「家族の寝静まったちょっとひまな夜の自由時間に、何か読むものないかな」そんな気分になったとき、お役に立てれば幸いです。

 

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(1)浅田次郎の短編集

ほんの短い時間で、ぐっと心をつかんでくれる。人生がちょっとせつないとき、繊細な感情をわかってくれる。いろんなことを思い出して泣けてしょうがない。でも気持ちがあったかくなる。そんな短編小説ならば、希代のストーリーテラー、浅田次郎の作品をおすすめします。

豊富な語彙によって紡ぎ出される名台詞の数々に、涙腺のツボを的確に抑えた作品の構成。浅田次郎の短編は、とても上手にできていて、そしてあたたかく、優しいです。短編も長編も、現代劇も時代劇も、数え切れないほど映画やテレビドラマとして映像化されています。

なかでも個人的にオススメなのは、集英社文庫から出ている『鉄道員(ぽっぽや)』と文春文庫の『椿姫』。特に、『鉄道員』収録の「ラブ・レター」「角筈にて」、『椿姫』収録の「シエ」「椿姫」「永遠の縁」はぜひ読んでいただきたい作品です。親子、夫婦、恋人、孤独、浅田次郎の描くいろいろな物語を疑似体験することで、人生が、たぶん、今より少し、やさしく、あたたかくなるはず。

 

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(2)三浦しをんの短編集

「人生っていうより、恋愛なんだよね、読みたいのは」という女性の声をよく耳にします。そこでオススメしたいのは、三浦しをんの短編集。「きみはポラリス」と「天国旅行」。どちらも新潮文庫から出ています。

「きみはポラリス」は、テレビドラマ的な画一的な恋愛物語とはひと味違う、いろんな味の詰まった恋愛短編集です。小説の自由さ、面白さを、あまり普段小説を読まない人でも楽しめると思います。

「天国旅行」は、死をテーマにした短編集ですが、かといって重くずっしりしているのではなく、読みやすく、トーンがけっして暗すぎない、いい感じのライトさのある一冊。

恋愛と死、というふたつのテーマを、三浦しをんの短編集この二冊でセットで味わってみていただきたいです。ちょっと世界が広がる感じ、するような気がします。

 

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(3)奥田英朗の短編集

さて、ちょっとブラックなというか、斜めの角度で世の中を見るのが好きな方、分かりやすい例で言うと、藤子不二雄だったらFの「ドラえもん」や「パーマン」よりAの「笑うせえるすまん」のほうが好きだなーという方にオススメしたいのが、奥田英朗の短編集「イン・ザ・プール」文春文庫。

総合病院の地下の神経科が舞台で、奇妙な精神科医が主人公。よくわかんない変な症状の患者と、さらに変な医者の、なんかこう、口の端を歪めて笑うような、シニカルなおかしさの5編。最近心が疲れてるなーと感じてたら、けっこう気持ちが軽くなるかも。ぜひ読んでみてください。

 

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(4)江國香織の短編集

作家の世界を楽しむ、という点では、独自の世界観を短いお話の中でサクッと体験できるのが短編小説のいいところ。そういう意味でオススメしたいのは、江國香織の短編小説。まだ知らない方は、あの瑞々しくて繊細で、そしてユニークで美しい、いわゆる江國香織の世界をぜひ体験してほしいなあと思うのです。

江國香織の短編集といえば新潮文庫の「号泣する準備はできていた」が、直木賞受賞ということもあり有名ですが、「泣くつもりで読んだのに全然泣けなかった」という女性の反応を私は何度か耳にしていまして、そのたびに、そりゃあ、別に泣かせる短編じゃないからなあとちょっと残念な気持ちになります。淡い筆致、微妙な距離感、刹那的なせつなさ、そういうものを味わうのが楽しいのに。

それはともかく、江國香織の世界観を楽しむのに、オススメしたいのが、新潮文庫の「つめたいよるに」と「すいかの匂い」。前者は21編の様々な小説が収められた短編集、後者は少女の夏の記憶の物語が詰まった短編集です。どちらも、読みやすく、そして江國香織の魅力にあふれています。読むときっと、世界がいまよりずっと美しく、輝いて見えるのではないでしょうか。

 

 

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(5)吉田修一の短編集「あの空の下で」

最後にご紹介するのは、簡潔でわかりやすく、そしてウェルメイドな手触りのある短編集、吉田修一の「あの空の下で」集英社文庫。航空会社の機内誌に連載された、旅情を感じる小さな物語が詰まった作品集です。

軽快なタッチで綴られる日常の中の、ちょっとしたワンポイント。機内誌連載だけあって、読後感もすこぶるよく、ちょっとグッときたり、ジンとしたり。通勤電車の中で毎朝一編ずつ読めるような、そんな感じ。

吉田修一といえば、「悪人」や「怒り」「パレード」など、人の心の闇を丁寧に掬って描くことの長け、映画化された作品も数知れずですが、こういうソフトな感じの吉田修一もぜひ知っていただきたいです。個人的には、文春文庫の「春、バーニーズで」もオススメですよ。

以上、今回は、「読書の秋、サクッと読めるおすすめの短編小説!」をお届けしてみました。朝の通勤通学で、昼下がりの空き時間にカフェで、リラックスタイムのお風呂のおともとして、夜寝る前の静かな時間に、ふと手にとって、そして遠い世界に行って、帰ってくる。人生をひとつ体験して、また自分に戻るわずかな時間。短編小説はとっても素敵です。